第9回:ボウラーズベンチに座れない

ボウリング談議

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第9回「ボウラーズベンチに座れない」

ボウリング場には、投球順序を待つためのボウラーズベンチが設置されているが、コンペ大会中、なぜかその椅子に座ることができないときがある。

コンペ大会の多くは4ゲームトータルで順位を競い、また1フレームごとに左右2レーンを使用する『アメリカン方式』と呼ばれる投球形式で開催されることがほとんどだ。

ひとつのコンペ大会では、ワンボックス(左右2レーン(奇数・偶数番レーン)のこと)に5名程度で投球することが多く、練習ボール開始からゲーム終了までは、概ね2~3時間程度を要すことになる。

しかし、自身の投球時間はごく僅かなものとなるため、多くのボウラーは投球順序を待つ間、このボウラーズベンチを利用することになる。でなければ、ずっと立ちっぱなしとなってしまい、足腰が疲れ投球にも影響が出てしまうからだ。
特に高齢ボウラーや足腰に不安を抱えるボウラーなどは、自身の投球順番以外は積極的にこのボウラーズベンチを利用する。

本来、ボウラーが休息を取るために設置されているこのボウラーズベンチだが、あろうことか、ベンチを予備のボウリングボール置き場として利用する不届き者が存在する。

私がボウリングを始めた30年ほど前にはボールの種類も少なく、現代のような曲がりを抑えたスペア専用ボールなどはなかった。

しかし現代ではこのスペア専用ボールに加え、ボール性能の向上によって様々な種類のボールが発売されるようになり、ゲーム中に複数のボールを利用することは当たり前となっている。

プロボウラーはひとつの大会に、最低でも6個、多い選手で10個以上のボールを持ち込む。それだけボールの性能が、スコアアップに大きな影響を及ぼすのだ。

これら複数ボールの運搬については、専用のボウリングバックを活用するのだが、なぜだかコンペ大会が始まるとバック内には収納せず、ボウラーズベンチ上に並べる。

ゲーム中、多種多様なボールをすぐ手に届く場所に置きたいのだろうが、周囲からすれば迷惑この上ない行為だ。

投球しないボールをボウラーズベンチ上に置かれてしまうと、他のボウラーたちがボウラーズベンチに座れなくなる。

しかし、プロボウラーは決してそんなことはしない。これはルールというよりも、ボウリングをプレイする上での最低のマナーなのではないだろうか。

最近は、本当にボウラーズベンチに平然とボールを置く、迷惑ボウラーが目立つ。

一体、いつ、どこからこのような習慣が広まってしまったのだろうか。非常に嘆かわしい。

ボールで占拠されてしまったボウラーズベンチは、その本来の役割を果たせないばかりか、オイルが付着したボールをそのまま置かれることで、ベンチが汚れ、そのままでは汚くて座れない。

さらには、ボウラーズベンチにボールを投げ落とす不届き者もいる。老朽化が進んでいるボウリング場のボウラーズベンチは、その多くがプラスチック製であり、重くて固いボールを投げ落とされれば傷やヒビ、また欠けたりすることだってある。

まれに、「ホームセンターはどこですか?」と質問されることがある。これは、日常的に練習やコンペ大会参加などに利用しているボウリング場のことをいい、この質問が投げかけられるということは、私に対して、『よそ者』意識があるのだろう。

『ここは俺のホームセンターだ』、『ここは俺の縄張りだ』、『お前はよそ者だから大人しくしていろ』といったことなのだろうか?

ボウラーズベンチ上にボールを置くという迷惑行為者は、そのボウリング場をホームセンターとしているボウラーに目立つ行為だ。

『常連』といった意識から、『何をしても許される』と勘違いしたボウラー、また存在感を示したいボウラーが、このような迷惑行為に走るのだ。

ボウリング場閉鎖が続いている昨今、ボウラー同士は当然のことながら、私たちボウラーはボウリング場との共存が求められる。ましてや、『常連』の身勝手な行動によって利用客が離れるなどが、あってはならない。

『常連による縄張り意識』から繰り返される迷惑行為に対しては、やがて他の利用者はそのボウリング場を離れる。それは、『常連となれるホームセンターの閉鎖』に繋がるのだ。

ボウリング愛好家であるならば、ボウリング技術を磨く以前に、周囲に配慮したマナーと気遣い、そして妙な縄張り意識を捨て、末永くホームセンターと共存できる術を模索すべきではないだろうか。

次回の執筆予定「未定」

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