第7回:レーン抽選は誰のため?

ボウリング談議

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第7回「レーン抽選は誰のため?」

コンペ大会参加時のレーン割り振り方法として、『レーン抽選』というものがある。

参加者の投球レーンと投球順序について、くじ引きで決める抽選方法で、一部のボウリング場で実施されている。

プロトーナメント大会やボウリング団体主催大会などでは、その公平性を保つため、投球レーンと投球順序については抽選で決めることが一般的だ。

一方でコンペ大会では当日に参加申し込みする者、またひとりでも多くの参加者を募りたいボウリング場としては、大会直前まで参加人数が決定しないことが多い。

そのため、参加人数決定後に使用するレーン数を決め、各レーンには極端な人数のばらつきが発生しないようにするため、この『レーン抽選』を実施した方が主催ボウリング場には都合が良い。

またボウリング団体などで活躍している常連客が、試合勘を補うためコンペ大会に参加するケースも多く、このような常連客からの公平性に関する要望もあって、『レーン抽選』を実施するボウリング場も多い。

しかしこれは、ボウリング場側の都合ではないだろうか。

『レーン抽選』となれば、気の合う仲間たちと離れ離れで投球しなくてはならない可能性が大きく出てしまう。

ボウリング場スタッフから、以前このように言われたことがある。

「どうして、いつも同じ人と投球したいのですか?」

『レーン抽選』については事前に告知している。これに異論があるのであれば、参加してくれなくて結構』といった言葉が、この問いかけから聞こえてくるような気がするのだ。

『気に入らないのであれば他所に行ってくれ』といった姿勢であり、信じがたい対応である。

ではなぜ、ボウリング場はコンペ大会を企画するのか。コンペ大会を主催するボウリング場は、この企画の原点に立ち返って欲しい。

商売である以上、『顧客獲得』が大きな目的ではないだろうか。

ハウスボール、ハウスシューズの一見客や、年に数回程度の利用客ばかりではボウリング場経営は難しい。

コンペ大会以外にも会員制度を設けるなどして、コンペ大会参加費やボウリング用品割引、また専用ロッカー貸出サービスなどを提供し顧客獲得の努力を重ねている。

その新規顧客が常連客となれば、ボウリング場にも大きなプラスとなることは明らかだ。常連客の獲得は、ボウリング場経営を左右する。

であれば、初参加する者へ柔軟性を持たせ、既存客も満足できる環境やサービスを提供して欲しい。

しかしコンペ大会参加初心者には、この『レーン抽選』はとても大きな壁になっていることに、気付いていないボウリング場が以外に多い。

通常ゲーム料金より高額な参加費を支払い、そのうえ全く知らない赤の他人と投球することは、大変なストレスとなる。コンペ大会を楽しむどころの騒ぎではないのだ。

つまり、コンペ大会参加者は『気心が知れた仲間と楽しく投げたい』のであって、『見ず知らずの他人と投げたくない』のである。

横柄な態度を取られ気を遣う、あれこれとアドバイスされ楽しめない、過去にトラブルとなったことがあるなどの理由から、『投げたくない人』の範囲は想像以上に広い。

プロトーナメント大会やボウリング団体主催大会とは、そもそも参加動機が異なる。

日頃の練習成果を、気心が知れた仲間たちと競い合いながら楽しむため、コンペ大会に参加している。それが満たされなければ、次回以降の参加はないだろう。

サービス業は難しい。対価に見合わないと判断されれば、利用客は二度とそのサービスを利用しない。

加えてボウリングは無形のサービスであるため、対価に対して『サービスの満足度』が上回らなければ次はない。

近年のボウリング場経営は極めて厳しく、新たな顧客獲得、ひとりでも多くの常連客を獲得することは必須となるだろう。

最終的に『レーン抽選』の実施について判断するのは、ボウリング場側だ。

そこには、既存の常連客ばかりの要望を優遇するのではなく、これからボウリングを始めようとする初心者たちに視線を向け、『ボウリングは楽しい』という印象を与える活動が必要なのではないだろうか。

ボウリング場スタッフや常連客、初心者も楽しめるコンペ大会を開催して、『ボウリングは楽しい』、『参加して良かった』と参加者が満足できる大会開催を、是非目指して欲しい。

コンペ大会は、『ボウリングを楽しみ顧客増加を目的とする場』であり、ボウリング団体主催大会のような競技の場ではない。

この棲み分けをボウリング場、また私たちボウラーも理解し行動しなければならないだろう。

ボウリング場が消えてしまえば、ボウリングも消え、私たちボウラーの存在も消えてしまうのだから。


次回の執筆予定「未定」

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