人と人のつながりは、いつどこで生まれるのか、本当にわからない。計算できるものではなく、予期しない瞬間に訪れては、その後の時間を大きく変えてしまう。
思い返せば、その最初のきっかけは九州プロレスだった。
私はこの団体を昨年から応援している。九州を拠点に「九州を元気にするばい」を旗印とする彼らは、NPO法人として活動し、地域に寄り添った姿勢を貫いている。プロレスという枠を越え、人と人をつなぐ「縁の装置」のような存在になっているのだ。
ある日、人気選手「ばってんぶらぶら」さんが企画したオフ会に参加した。会場に集ったのは30人ほどの仲間たち。笑い声やグラスの音に包まれたその夜、私は偶然同じテーブルについた人々と親しくなった。ボウリングという共通の話題が自然に会話を弾ませ、互いに初対面ながらも、一気に距離が縮まったことを今も鮮明に覚えている。
その縁が、さらに新しい出会いへと導いてくれた。
先日、女子プロボウラーと一緒に投げる大会に参加する機会があったのだ。これまで何度か顔を合わせることはあったものの、立場は「客」と「ゲストプロ」。特別な会話を交わすこともなく、距離は遠いままだった。だが、九州プロレスでのつながりが不思議な橋渡しとなり、その女子プロとの関係がぐっと近づいた。
大会当日、ボウリングの内容などそっちのけで、互いの会話に花が咲いた。顔は知っていても名前すら知らなかった関係が、気づけば冗談を言い合い、笑い合うほどに変わっていた。SNSでつながり、今後はボウリングだけでなくプライベートでも交流が広がりそうな予感すらある。
思えば、このご縁には驚くほどの偶然が重なっていた。
九州プロレスの存在、オフ会への参加、同じテーブルへの偶然の着席、InstagramやLINE、そして偶然にも予定していた女子プロボウラーと投げる大会への出場。いくつもの偶然が糸のようにつながり、一本の太い縁へと結びついたのだ。ひょっとすると、これは天文学的な確率なのかもしれない。
かつては、こうした出会いはなかなか起こり得なかった気がする。名前も知らず、職業も知らない者同士が、短時間のうちに深い交流へと変わる。SNSがあればこそという側面はある。だが、そこにはやはり「人と人を結ぶ力」が確かに働いているように思えるのだ。
人の縁とは不思議なものだ。
求めても得られず、偶然に、ふとした瞬間に目の前に現れる。その縁をどう育てるかは、自分次第である。粗末にすればただの一時の出来事に過ぎないが、大切にすれば、長い人生を照らす光にもなる。私は今回の出会いを、そんな光として育んでいきたいと思う。
ボウリングという競技が与えてくれた縁。
そして九州プロレスが繋いでくれた縁。
これらが重なり合って生まれた新しい人間関係を、これからも大切に守っていきたい。
人生は時に単調で、同じ色合いの毎日が続くこともある。だが、思いがけぬ縁が差し込むだけで、その風景は一変する。
人と人が自然につながっていくことの奇跡を、私は改めて実感している。