仕事始めに届いた一通のメールが残した違和感
2026年の年が明け、仕事始めの初日。まだ正月気分の余韻が残る朝に、一通の不可解なメールが届いた。差出人は、社長を名乗る人物。内容は「LINEグループを作成してほしい」という指示と、招待用QRコードのやり取りに関するものだった。
メールはフリーメールから送信されており、本文はテキストをJPEG形式に変換した画像ファイルが添付されているという、どこか不自然な体裁だった。怪しいと感じながらも、パソコンに不慣れな社長が年末年始に誰かの手を借りて送ってきたのかもしれない、そんな可能性が一瞬頭をよぎった。しかも「特命であり、他言しないように」と添えられていたことが、逆に私の判断を鈍らせたのかもしれない。
仕事始めの日、社長は挨拶回りで外出しており、真意を直接確認することができなかった。
私は迷いながらも指示どおりLINEグループを作成し、QRコードを返信した。すると、ほどなくして社長を名乗る人物がグループに参加し、「次は経理担当者を追加してほしい」と告げてきた。
その瞬間、胸の奥で小さな警鐘が鳴った。これはおかしい。そう感じ、私はそれ以上の対応を止めた。後日、同様の手口による詐欺が急増していることをネットニュースで知り、背筋が冷たくなった。
思い返せば、私は2024年にもフィッシング詐欺の被害に遭っている。
警戒心は持っていたはずだった。それでも「おかしいな」と思いながら、相手の言葉に応じてしまった自分がいた。さらに追い打ちをかけるように、数日後にはGoogleアカウントが変更されたという不審な通知まで届いた。
ここ数年、詐欺やフィッシングメールに遭遇する機会は明らかに増えている。クレジットカードの不正利用を経験したことも一度や二度ではない。どこで、どのように情報が漏れているのかは分からないが、「自分は大丈夫だ」という感覚ほど危ういものはない。
昔の詐欺メールは、ひと目でそれと分かる稚拙さがあった。しかし最近は、まず不安を煽り、その解決策を装って誘導し、さらに「他人に相談するな」と孤立させる手口が目立つ。身に覚えのない連絡は無視する。よく言われることだが、これほど的確な助言はないのだと思う。
もし不可解な連絡を受け取ったら、すぐに反応しないこと。ネットで調べる、誰かに相談する、あるいはAIに問いかけてみる。それだけで回避できる被害もあるはずだ。
便利さと引き換えに、常に注意を求められる時代に私たちは生きている。大切な情報を守るためにも、違和感を覚えたその感覚を、どうか無視しないでほしい。

