週末になると、私の足は自然とハードオフへ向かう。リサイクルショップとしてよく知られたその店を巡ることは、もはや趣味というより小さな習慣となり、日常の隙間にふっと差し込む楽しみのような存在だ。
なかでも心を掴んで離さないのは、店の片隅に広がるジャンクコーナーである。
動作未確認の品、故障した機器、パーツが欠けているもの、埃をかぶったまま長く眠り続けていた電化製品たち、それらはどれも規則性なく並べられ、しかし不思議と宝箱のような魅力を放っている。
簡単な修理で息を吹き返しそうなもの、少しの我慢で十分に使えそうなもの、あるいは丁寧に拭えばまた輝きを取り戻しそうなもの。それらを前にすると、私は商品ではなく「可能性」の詰まった棚を覗いているように感じる。
週末のジャンクコーナーは、同じように宝探しを楽しむ人々でほどよい熱気に包まれ、ひっそりとしながらも、どこか高揚した空気がゆっくりと流れている。
オンラインの利便性では到底味わえない、この“出会いの瞬間”に立ち会うことこそが、ハドフ巡りの醍醐味なのだ。
そして、この巡りをさらに楽しいものにしているのが、公式アプリの存在である。店舗に入るたびにチェックインをすればポイントが付与され、地図上には訪れた店舗の履歴が蓄積されていく。私は現在、住んでいる県と隣り合う三県の店舗をすべて巡り終えている。もちろん、制覇したところで特別な景品がもらえるわけではない。しかし、旅人が地図に印を残すように、訪れた場所をひとつずつ塗り潰していく感覚が心地よく、それがまた次の店舗へと足を向ける原動力になっている。
そもそも私がハドフ巡りを始めたきっかけは、レトロゲームを探すためだった。
子どもの頃に夢中で遊んだゲームソフトを見つけたときのあの胸の高鳴り。その記憶をもう一度味わいたくて店を訪れていたのだが、いつしか店内すべてを巡ることが楽しみへと変わり、懐かしい品や、心のどこかをくすぐるような“一点もの”との出会いを求めるようになっていた。
ハードオフの商品はどれも一期一会で、次に来たときにはもう棚に残っていないことが多い。
それゆえ、見つけた瞬間の判断がすべてであり、その緊張感がまた楽しい。週末に一週間ぶりの店舗へ足を運ぶと、前回見かけなかった新しい品々がさりげなく並んでいることがあり、それがまた次の週も訪れたいと思わせてくれる。
近年、多くのリサイクルショップが開店前から買取の列を作るようになった。
リサイクルショップは“手放す人”と“求める人”の両方が存在して初めて成立する。もしこの循環が止まれば、たちまち店は立ち行かなくなるだろう。だからこそ、家に眠る不要品があれば、捨てる前にぜひリサイクルショップへ持ち込んでほしいと思う。
あなたにとっては不要でも、誰かにとっては長いあいだ探していた宝物であるかもしれない。そう考えると、この世界は小さな優しさと偶然に満ちており、ハドフ巡りはその優しさにそっと触れることのできる週末の冒険なのだ。

